再び、Willow Garage(ウィロー・ガレージ、WG)を訪問する機会があった。同社に最近入社した、Brian Gerkey(ブライアン・ガーキー)氏をインタビューするためだ。ガーキー氏はパーソナル・ロボット・プラットホーム「PR2」用の基本ソフト「ROS(Robot Operating System)」の開発に取り組むほか、ROSの上にのるすべてのアプリケーションの開発責任者である。WGのソフト開発はすべてオープンソースで行われている。
同氏は、米国における移動ロボット用ソフトのデファクト・スタンダード(事実上の標準)であるPlayerの生みの親として知られる。すでにオープンソース型の開発で、事実上の標準となるようなロボット用ソフトの開発に成功している同氏がWGに仲間入りしたのは極めて興味深い。彼がPlayerの開発過程で学んだことが、ROSの開発に大いに活かされるだろう。
実はROSと、日本のRT-Middlewareが解決しようとしている問題は同じだ。ロボット開発コミュニティーに共通のプラットホームを提供することで、みなが研究成果を共有できるようにし、開発に拍車を掛けようということだ。
ただ、日本のRT-Middlewareが、最初から「世界標準」になることをかなり強く意識しているのに対し、WGのガーキー氏は、「ロボティクスの世界は、まだ標準化の話は早過ぎるのではないか」と考える。また、「標準」となるよりも、「大きなユーザー・コミュニティー、大きな開発コミュニティーを得ること」が先決であると同氏は語る。
では、その「大きなユーザー・開発コミュニティー」を獲得するために、同氏らはどうしようとしているのか。同氏とのインタビューの内容をGetRobo Premiumに掲載した。(GetRobo Premiumにはパスワードが必要です。パスワード送付をご希望の方は無料メーリングリストから登録してください。)
また、ガーキー氏との話はソフト開発の部分に集中したが、この日はPR2のハードを初めて見ることもできた。WGはもともと、今年12月にPR2をリリースする予定だったが、ガーキー氏の話によると、「2009年の第一四半期にずれこむ見通し」。WGは希望する大学、研究所に対し、PR2を無償提供、もしくは低価格でレンタルする計画だ。
1枚目の写真はPR2のベースだが、予想していた以上に大きかった。PR2には北陽電機のTop-URG(側域センサー)をが2台、搭載される予定。マニピュレーション用にネック部に1つ、そしてマッピング用にベースに1つ。写真2枚目はネック部のTop-URG用の台。また、3枚目の写真はこうした部品の耐性試験をしている様子。こんなことまで自分たちでやっているのですね~。
ロボットの国際会議「ICRA」で、久しぶりにWillow Garageのスティーブ・カズンズ社長兼最高経営責任者(CEO)に会った。同社については以前書いたが、最近、組織変更をしたという。
もともと、家事や高齢者介護などで役立つパーソナル・ロボット、自律型無人ロボット車、そして無人で1年間、航海できるロボット船の開発、という3つのプロジェクトに取り組んでいたが、このほど「パーソナル・ロボットのプロジェクト1本に絞ることにした」(カズンズ社長)。「難しい決断だったが、会社がまだ小さいうちは、1つに集中するほうが良いと判断した」と言う。これまで無人ロボット車、ロボット船の開発に携わってきた技術者は当面、そのまま社内にとどまり、パーソナル・ロボットの開発にシフトする。
今年の夏に予定されていたロボット船の進水式を楽しみにしていたので残念だ。船は大学に寄贈されたそうだ。
シリコンバレーで注目度満点の新ロボット・ベンチャーがデビューした。その名はWillow Garage(ウィロー・ガレージ)。
同社の紹介ページから抜粋すると、
Through generous private investment and philanthropy, Willow Garage has the resources to maintain a research lab of 60 people indefinitely. Our sponsors have charged us with developing autonomous artificial devices that operate in unconstrained environments without human intervention to perform specific tasks.
(個人による豊富な出資と社会貢献的な観点から、ウィロー・ガレージは無期限に60人から成る研究所を維持できるだけの財源を持つ。我々は、人間による助けがなくても自由な環境で特定の作業を遂行できる自律型の人工機械を開発する任務を、出資者たちに課された。)
同社のSteve Cousins(スティーブ・カズンズ)社長によると、「収益を上げられるようになるのは第2のゴール。第1のゴールは、ロボットの開発を通じて社会に大きなインパクトを与えるようになることだ」。ロボットの開発に携わる技術者にとっては「夢の城」(日本のロボット研究者)とも呼べなくない。
同社が現在、取り組んでいるプロジェクトは3つ。家事や高齢者介護などで役立つパーソナル・ロボットと自律型無人ロボットカー、そして無人で1年間、航海できるロボット船の開発だ。
パーソナル・ロボットについては、スタンフォード大学と共同で新たなソフトとハードのプラットホームを開発中で、2008年12月をメドに一般公開するという。ソフトはオープン・ソース、ハードの配布モデルはまだ決めていないが、「有償で提供してあまり使われないよりは、多数の人に利用してもらえるよう低価格でリース、ないしは無償提供したほうが良い」(カズンズ社長)といった考え方だ。
下のビデオはハードウエアのプラットホームのベースとなる「PR1」。これにセンサーの数を増やすなど改良した「PR2」を来年12月に公開する。アームの下にバネが入っており、動きが滑らかで当たっても痛くない。重力補償によって、電源を切ってもアームはだら~と下に下がらない。
ウィロー・ガレージのバックにいる出資者はだれか、マイクロソフトのプラットホームと比べてどうなのか。もっと知りたい読者はこちらのGetRobo Premiumの記事をどうぞ。
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