iRobot

2008年10 月22日

グレイナー氏がアイロボット会長を退任

 アイロボット社は22日、同社の創業者の1人であるヘレン・グレイナー氏が、24日付けで会長職を辞任すると発表した。 同氏は社外取締役として同社とのかかわりを保ちながら「pursuing other interests and opportunities within the robot industry」(ロボット業界における他の関心事や機会を見つける)という。

 辞任の理由についてはプレスリリースには何も記されていない。

 Xconomyが辞任発表直後に本人と電話で話している。その記事によると、グレイナー氏の今後の予定は新設されたRobotics Technology Consortiumの初代社長に就任するほか、母校MITや科学館の役員を務めながら「次にやることを探す」と言う。

 今年9月に、同じくアイロボットの共同創業者で、グレイナー氏の恩師であるロドニー・ブルックス氏が同社を退社して新ベンチャーを設立すると発表したが、それに加わるかどうかはまだ決めていないとしている。

 突然の退任にいたった真の理由は謎に包まれているが、Xconomyは次のように書いている。

 Greiner didn’t go into detail about why she’s stepping down as chairman, and it’s hard not to speculate that it was at least partially involuntary—but at the same time, it’s easy to imagine that she has simply had enough of the grind and has decided to move on.

 (グレイナーは会長を辞任する理由について詳細を語らなかったし、完全に自発的ではなかったのではないかと推測しないではいられない。しかし、と同時に、彼女が単に重労働に疲れて、次のことに進むことを決めたのではないかと想像することもたやすい。)

 Robot Stock Newsはグレイナー氏が去ることを悲しみながら、「Sale of the company looming?(会社売却が間近?)」と予測している。

 IRobotIPO   

(2005年11月にアイロボット社が株式公開したときの写真。右がグレイナー氏。左は同社のコリン・アングルCEO。同CEOが会長職を兼務する。写真はアイロボット社提供)

2008年9 月10日

MITのブルックス教授が新ロボット会社を設立

 ロボット分野の大御所、MITのRodney Brooks(ロドニー・ブルックス)教授が、新ロボット・べンチャーを設立した。その名は Heartland Robotics。ブルックス教授はアイロボット社の共同創業者兼最高技術責任者(CTO)としても知られるが、同社のプレスリリースによると、同教授は取締役会にはとどまるものの、CTOは退任する。また、同教授はMITの職務も休職し、新ベンチャーに専念するようだ。

Dr1_rodney_brooks_1 (写真はアイロボット提供)

 新ベンチャーのサイトにはまだ何も情報が載っていない。ただ、「Heartland Robotics is combining the power of computation - embodied in robots - and the extraordinary intelligence of the American workforce, to rehumanize and revitalize manufacturing.(ハートランド・ロボティクスはロボットに統合された計算能力と、米国の労働力のたぐいまれな知力を組み合わせることで、生産活動に人間らしさを取り戻し、活性化する)」とだけ書いてある。

 新会社が実際どんなロボットを開発するのか詳細は明らかになっていないが、Xconomy に比較的、詳しい情報が載っている。そこから要点を抜粋すると、

☆ブルックス教授は新会社の会長兼CTO。最高経営責任者(CEO)にはMITの講師で「連続」起業家のKen Zolot氏が就任する。

☆新会社はアイロボットと競合しない。

☆職場と産業分野に革命をもたらすようなロボットを提供する。パソコンがIT従事者の世界にもたらしたような生産性の向上を、単純労働の世界にもたらしたい。

☆大工場の産業用ロボットではなく、中小・零細企業を顧客のターゲットとしている模様。この記事で例として挙がっているのが従業員3,4名のパン屋。ネット経由で2000ドル程度でロボットを購入でき、マニュアルを読まなくても、パン焼き職人が自然言語と業務のデモンストレーションでロボットをプログラミングできる、といった世界をブルックス教授は想定している。

 ということはいよいよ、「まるいち」が現実に世の中に登場するということか?!この新会社、要ウォッチ。

2008年8 月25日

アイロボットのConnectR-再・適性調査

 予定より大幅に遅れているアイロボットのテレプレゼンス・ロボット「ConnectR」のベータテスト。同社からまた!メールが届いた。ベータテストの参加希望者は「requalification survey(再・適性審査調査票)」に答えないといけないという。Robot Stock Newsによると、1万件以上の応募があったようで、その中から「適任者」を絞り込みたい模様だ。

 このサーベイの内容全文を参考までにここにアップする。

Download connectr_beta_test_requalification_survey.pdf

 新しいのは、以前はConnectRのベータテスト・バージョンを199ドルで購入できるとしていたのを、4週間の試験後に同社に返却しなければならない、と変更した点だ。このように修正した理由として考えられるのは、

①199ドルではとうてい機能的なマシンは作れないことが分かった。(というか、最初からベータ・バージョンは採算割れになる予定だったが、それにしてもコストがかかり過ぎることが分かった。)

②「購入」となると「アフター・サービス」が必要となるうえ、顧客がアイロボットの欲している情報をフィードバックしてくれるとは限らない。

③テスト後にバラバラにされるとこまる。

④いずれ発売になる本当の商品がベータ・バージョンと似ても似つかないものになった場合に面倒。

⑤やっぱり発売しない、となった時にもっと面倒。

 では試験の「適任者」とはどういう人物になるのか。質問表から見ると、まず家庭内の無線LANが整備されていなければならないようだ。ルーターの場所とConnectRを使うであろう場所の位置関係などを詳しく聞いている。私はホームオフィスで使おうとしているので、このあたりはばっちりなのだが、質問項目18の「ConnectRのソフトを修正するために、留守中でもあなたのコンピューターにアクセスしてもよいか」には、ちょっと躊躇しながらも「No」とした。だから、不適任となるかもしれない。

 よく分からないのは、応募者が「online social networker」(SNSをよく利用する人)かどうかを確かめたがっていること。これが選考過程でプラスにはたらくのか、マイナスなのか。SNSを通じてConnectRの使用感を情報発信・共有するであろう人々に使ってもらいたいのか、そうじゃないのか、知りたい。

 とにかく、私はすべて正直ベースで答えたので、あとは結果を待つのみ。

Connectr_at_von_photo

2008年8 月15日

初めてのルンバ(パート1)-中古品

 アイロボットの自走式掃除ロボット「Roomba(ルンバ)」が届いた。夫が誕生日プレゼントに買ってくれたのだ。アイロボットのことをいろいろ書いてきたが、うちにはまだルンバがなかったから。

 あら、しゃれたことをしてくれるじゃない、と喜んだのもつかの間。開けてみると、なんと、「REMANUFACTURED」と書いてある。なんらかの問題で返品になった製品を、メーカーが修理して再販売した「再生産品」、いわゆる「メーカー認定の中古品」だ。今回のはRoomba Silver Model #4150 の再生品。Wikipediaによると、このモデルはAmazon.comと小売大手のTarget向け専用の商品だった模様。99ドルという価格は再生品としても安い。

Roomba_009

 ちょっと!人にプレゼントするのに再生産品はないんじゃないの!しかも、この型の再生産バージョンはアマゾンとかのレビューで評判が悪いし、だいたいリサーチ不足!と言いたいところをぐっとこらえて、使ってみることに。

 使い始めはバッテリーを16時間充電するように、と書いてあるのでそのようにセット。ところが、3時間くらいで充電ランプが緑色に輝いた。おかしいなと思いながら、きちんと16時間そのままにした。

 そして、いよいよ掃除。ボタンひとつ押すだけで動き出し、部屋をぐるぐる周り始めた。しかし、1分くらいでストップ。え?見ると電池切れ。再度、充電しようとしたら、今度は充電中を示すランプがつかない。

 ほら~やっぱりね~。夫はそそくさと販売元(Amazon.comに店を出している代理店)に電話をし、返品することに。お店は「代替商品を送るか」と聞いているようだが、私はぶんぶん首を振り、「新しいのを買ってくれ」とお願いした。返金→新品購入の段取り。なので「初めてのルンバ」体験記は少し先送り。

2008年8 月 5日

アイロボットの決算会見録

 Robot Stock News を通じて今日初めて知ったのだが、Seeking Alphaというサイトにアイロボットの最近の決算会見録が出ている。つまり、もう朝早く起きて電話会見に参加したり、後から時間を見つけてポッドキャストを聞かなくても会見の内容を読むことができるのだ。

 このSeeking Alphaというサイト、アイロボットだけでなく、多数の会社の会見記録をまとめており、「democratization of financial information(財務情報の民主化)」が目的とのこと。ジャーナリストやブロガーが出典を明らかにする限り、各会見のトランスクリプトから400単語までを引用することを許可している。

 アイロボットの2008年4-6月期は好調。家庭用ロボット事業部門は売上高が前年同期比で倍増。

2008年6 月 3日

アイロボットCEOの経験-その2

 昨日に続いてアイロボット社コリン・アングル最高経営責任者(CEO)の話。同CEOによると、アイロボットは創業時から様々な事業モデルを模索し、同社の飛躍につながった自走式掃除ロボット「ルンバ」にいたるまでに、実に14種類の事業モデルで失敗したという。以下が失敗したという14種類の事業モデルだ。

1.月へロボットを送る計画の映画化権を販売し、計画を実行に移す

2.大学とホビイストに研究用ロボットを販売する

3.ロボット玩具でロイヤリティー収入を得る

4.血管掃除ロボット用のナノ・ロボット技術を開発し、ライセンス提供する

5.油田の生産性を高めるロボットを石油業界に売る

6.原子力発電所の検査ロボットを売る

7.博物館に教育用ロボットを売る

8.業務用床清掃ロボットの技術をライセンス提供する

9.軍隊のロボット研究を下請けする

10.「ロボット戦争」型の娯楽施設を作り、販売する

11.地雷除去ロボットを販売する

12.ロボット用基本ソフト(OS)を開発し、ライセンス提供する

13.インターネットを通じて制御できるロボットを産業界に売る

14.弾道ミサイル探知機関向けに惑星探査ローバーを開発・販売する

ちなみに講演の後の質疑応答で、「産業用ロボットはなぜやらないのか」といった質問が出た。対するアングルCEOの答は「I would be surprised if we are not in the industrial space 5 years from now.(私は、5年後に我々が産業用ロボットの分野で商売をしていなかったら、驚くだろう。→つまり、5年後にはきっと産業用ロボットの分野にも進出しているだろう、ということ)」

2008年6 月 2日

アイロボットCEOの経験-その1

 スタンフォード大学でアイロボット社コリン・アングル最高経営責任者(CEO)の講演を聞いた。題名は「Adventures in Entrepreneurship(起業の冒険)」。一番の印象は、同CEOが本当に様々な経験を積んだ上で語っているな、ということだった。良い意味でこの会社は「新しくない」。同社の自走式掃除ロボット「ルンバ」が日本で売れるようになったのはつい最近のように感じられるが、実はアイロボットの創業は1990年に遡る。設立2、3年のロボット・ベンチャーの経営者とは言葉の重みが異なるのだ。

Colin1

 話の内容は、アイロボットのこれまでの歴史を振り返りながら、起業を通じて自分が学んだことについてだったが、今後、起業を目指す人には貴重なアドバイスが豊富に盛り込まれていた。

 GetRobo Premium では同CEOの話を、起業家へ向けた「8つの助言」にまとめた。ロボット関連ベンチャーにかかわる読者は必読。(GetRobo Premiumにはパスワードが必要です。パスワード送付をご希望の方は無料メーリングリストから登録してください。)

2008年5 月12日

アイロボットの人事

 アイロボット社の家庭用ロボット事業部門のトップ、Sandra Lawrence氏が同社を辞めるという。同社が今日、発表した。プレスリリースはここ

 家庭用ロボット事業を拡大するために、ポラロイドやジレットで経験を積んだコンシューマー製品のプロとして同氏がアイロボットに招かれたのは昨年の4月だから、わずか1年ちょっとしかもたなかったことになる。しかもプレスリリースの書き方から、これは彼女が辞めさせられたに違いない。通常、本人の希望で退社し、会社側ができれば引き留めたかったような場合には、プレスリリースにはその人の会社における功績などを書き連ね、「誠に残念」みたいな文言が入るからだ。このリリースにはそのような形跡がない。

 なにがあったのだろう。興味津々。アイロボットは2週間前にCFO(最高財務責任者)もすげ替えているし、社内の混乱がうかがえる。

 このところアイロボットにとってはうれしくないニュースばかり。同社の自走式掃除ロボットの主要顧客だった小売チェーンのLinens 'n Thingsがチャプターイレブンを申請(経営破たん)する、その結果、今期の業績を下方修正する、などなど。

2008年3 月20日

ConnectRのデモ

 アイロボットのテレプレゼンス・ロボット「ConnectR」の実物を初めて見る機会があった。同社はConnectRとパソコン間のコミュニケーションで、Trinity Convergenceという会社のソフトを使うことにした。(プレスリリースはここ。)そこで、シリコンバレーで開催されたインターネット関連のコンファレンス「VON.x」で、2社が共同でConnectRを展示したのだ。

 まずはそのデモの様子をどうぞ。

 ここで「一見、同社の掃除ロボット『ルンバ』にカメラがのかった、という感じ」と書いたが、実物は、まさにその通りだった。ナビゲーションの仕方、充電器への戻り方など、すべて「これまでルンバで培ってきた技術・ノウハウを活用している」とデモをしてくれたアイロボットのResearch Program ManagerのBryan Adams氏は言う。

 ConnectRを操作するためには、無線LAN(Wi-Fi)とウィンドウズXPを搭載したパソコンが必要。ユーザーはまずパソコンにTrinityのクライアント・ソフトをダウンロードする。このソフトがConnectRのカメラが映し出す映像と音声のやり取りを可能にする。Trinity社のDirectorのJeff Schline氏によると、「電話などこれまで手掛けてきた機器と違って、ロボットはモーターがあるし動くので、エコーキャンセルが大きな課題だった」そうだ。

 ちょっと見にくいが、以下がパソコンの操作画面。

Connectr_interface

 右下に「Personality(性格、個性)」と書いてあるタブがあって、そこをクリックすると「None Danger Bye Busy Laughing Serious Love Happy」というリストが出てきた。「Laughing(笑っている)」にすると、カメラの上のLEDがぴかぴか光った。これからこの機能をどう拡充するかは未定のようだ。

 日本でもいくつかテレプレゼンス・ロボットが製品化されているけれど、あまり売れていない。その点をどう考えるか、とアイロボットのAdams氏に聞いてみた。同氏の答はこうだ。「こうしたロボットが売れるためには3つの条件が必要だ。第1に、IPネットワーク上で高品質の音声・ビデオのやり取りが可能であること。これはTrinity社と協力することで実現できた。第2にセットアップが簡単であること。そして第3に価格だ。我々のやろうとしていることを1500ドルの製品でやるのは簡単なこと。でもそれでは売れない。(注:アイロボットはConnectRを500ドル程度で売り出そうとしている。)ConnectRは市場で受け入れられると我々は楽観視している」

 今回のデモを見ての私の感想。私は家庭用ロボットに関心があり、ConnectRの最初のユーザーの一人になりたいからこのロボットを買うだろう。しかし、今の私の生活の中で、このロボットが実際に何かに役立つかと言えば、現時点で思い当たることがない。掃除機とはそこが違う。

Connectr_at_von_photo

2008年2 月14日

最新情報:アイロボットのConnectR

 今日、アイロボット社からメールが届いた。同社が発売を予定しているテレプレゼンス・ロボットの「ConnectR」についてだ。当初、ConnectRは昨年のうちに試験販売が始まるはずだったのに、「Dear ConnectR Enthusiast」(ConnectRファンの貴方へ)と始まる手紙によると、「2008年のできるだけ早いうちに」試験販売を始めたいとのこと。たくさんの応募があり過ぎて、いったい誰にモニターになってもらえばいいのか分からない、といった会社の心情がうかがえる。

 だから、それを決めるためにも、もう1つ質問に答えてくれ、とのこと。「Who are We as Prospective ConnectR Owners?」(「ConncetRのオーナーとなる私たちってどんな人?」)という表題にややカチンとくるが(「別に誰だっていいだろう、買うんだから!」という気持ちになるのは私だけか?)、質問は、「あなたの家庭では、ConnectRを使う最も重要な状況、理由は何だと思いますか?」というもの。で、ここをクリックすると、「1つだけチェックしろ」ということで、以下の理由が羅列してある。

○会社・出張先から夫・妻・パートナーと連絡を取り合う

○外出中に家にいる子供たちとやり取りする

○孫とやり取りする

○高齢の親やその他の高齢者をバーチャルに訪問する

○外出時にペットをチェックする

○留守宅のチェック

○在宅時に別の部屋にいる子供や高齢者、障害者などをチェックする

○友達とオンラインでソーシャル・ネットワーキングする

○軍隊で遠隔地に配備されている間に家族をバーチャルに訪問する

○コミュニケーション/テレプレゼンス・ロボットにかかわる最初の1人になる

○その他

 私は正直に「コミュニケーション/テレプレゼンス・ロボットにかかわる最初の1人になる」に印をつけて送ろうかなと思ったのだが、それとも「その他」でおもしろい理由を書き込めば当たる可能性が高いのかな~。みなさま、モニターに選ばれるような良い答があれば、ぜひ教えてください。

 でも、こうやって顧客を「選んで」トライアルし、その結果を使ってより良い製品を開発しようという試みが効を発揮するのか、それともWowWeeのようにさっさと売り出してしまうのが良いのか。この先、楽しみである。

 なお、今後、アイロボットのように消費者モニターを活用したロボット開発を考える日本企業のため、同社から届いた手紙を以下にコピーしてダウンロードできるようにしました。ご参考まで。

Download dear_connectr_enthusiast.pdf